下鴨神社の春を彩る流し雛の魅力とは?境内の他の見どころも紹介!
京都の下鴨神社では毎年3月3日(桃の節句)に「流し雛」が行われます。
毎年大勢の人が集まり、下鴨神社の春を特に彩る伝統行事として有名です。
今回の記事では、流し雛の由来や、行事当日の流れまで詳しく解説いたします。
また、後半では下鴨神社の他の見どころも紹介していますので、訪問の際の参考にしてくださいね。
下鴨神社の流し雛について
下鴨神社の恒例行事である流し雛とは一体どのようなものなのでしょうか。
見学や、参加を検討されている方の参考になるように、詳細をお伝えします。
流し雛とは?
毎年3月3日の桃の節句に開催される下鴨神社の流し雛は、神聖な雰囲気漂う神事です。
この行事では、桟俵に乗せた雛人形を下鴨神社境内にある御手洗川に流して厄災をはらいます。
神社の境内では、十二単のお雛さまと衣冠装束のお内裏さまに扮する男女が雛人形を御手洗川に流す神事が行われ、その後、一般の参加者も桟俵を使って雛人形を流すことができます。
毎年、このお雛様とお内裏さまは、新婚の夫婦が選ばれ、参加者は清らかな気持ちで災厄を流す儀式に参加します。
流し雛の歴史
下鴨神社の流し雛の歴史は、平安時代中期にさかのぼります。
この古くからの伝統行事は、和紙でできた雛人形に身のけがれを託し、水に流す習慣に始まります。
無病息災を願う行事で、雛祭りの原点とも言われています。
下鴨神社の御手洗川は、葵祭の斎王代の禊(みそぎ)や足浸け神事でも知られており、けがれを払う川として古くから信仰を集めています。
どんな流し雛が使われる?
下鴨神社の流し雛では、桟俵(さんだわら)に乗せた雛人形を、境内の御手洗川に流します。
桟俵の雛人形は、舞殿前で販売されており、大が1,000円、小が500円です。
前年に購入し、1年間飾った雛人形を翌年に流すのが基本ですが、当日に流しても問題はありません。
流し雛当日の流れ
流し雛の儀を行うのは、下鴨神社の御手洗川です。
<流し雛当日の流れ>
10時30分頃 橋殿で、女性の十二単の着付けが披露されます。
11時頃 お雛様、お内裏様に扮した男女が桟俵の雛人形を流す儀が行われます。
11時30分頃 一般の参加者が雛人形を流すことができます。
当日は、十二単の着付けを見られることもあり、その様子を一目見ようと、朝早くから訪れる人が多いそうです。
春の訪れと清らかな気持ちが交わる素晴らしい行事といえるでしょう。
注意点
一般の人が、流し雛を流す頃の時間は大変混雑します。
ご自身の流し雛を流すだけが目的の場合は、少し時間をずらして訪問することをおすすめします。
お雛様の十二単の着付けと、お雛様とお内裏様が行う神事の両方を見学したい場合は、早めに場所を確保する必要があります。
神事も見るのか、流し雛だけでよいのか、目的を絞って計画的に訪れるとよいでしょう。
下鴨神社はどんな神社
ここまでは下鴨神社の流し雛について紹介いたしました。
ここでは、下鴨神社とはどんな神社なのかを簡単に説明いたします。
歴史
下鴨神社は、京都市左京区にある神社で、京都で最も古い神社の一つです。
正式名称は「賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)」といい、鴨川の下流にまつられていることから「下鴨神社」と呼ばれています。
下鴨神社の歴史は紀元前90年頃にまでさかのぼり、古代の豪族である賀茂氏が五穀豊穣の神として信仰したことが起源とされています。
神武天皇の代に御蔭山に祭神が降臨したとされ、平安遷都後は山城国の一之宮となり、国家国民の安泰を祈願する神社として崇敬されました。
世界遺産「古都京都の文化財」の1つに登録されており、東西の両本殿はともに国宝に指定されています。
ご利益
下鴨神社は、京都でも有数のパワースポットといわれています。
勝利、導き、厄除け、縁結び、子宝、安産、子育て、交通安全など、さまざまなご利益があるとされています。
特に、下鴨神社「相生社(あいおいのやしろ)」は、縁結びのパワースポットとして有名です。
また、下鴨神社の摂社として古くよりまつられている河合神社は女性守護としての信仰を集める神社で、美顔祈願のご利益があると有名です。
アクセス
所在地 | 〒606ー0807 京都府京都市左京区下鴨泉川町59 |
電車でのアクセス | 京阪電車 出町柳駅から徒歩約12分 JR京都駅から市バス下鴨神社前(もしくは糺ノ森前) |
タクシーでのアクセス | 京都駅より下鴨神社まで約20分※駐車場は神社西側【西駐車場】 |
下鴨神社の春の魅力
春ごろに、下鴨神社を訪れた際の魅力について紹介いたします。
ちょうど気候の良い頃ですので、京都観光や神社参拝にはぴったりの季節です。
3月は梅の見頃
例年2月下旬~3月中旬に梅の見頃を迎えます。
楼門をくぐって右側、御手洗川にかかる朱塗りの橋「輪橋(そりはし)」のたもとに咲きます。
この梅は、江戸時代の絵師・尾形光琳が描いた国宝「紅白梅図屏風」のモデルとも伝えられることから、「光琳の梅」と呼ばれます。
紅白梅図屏風は、光琳の晩年の作で、京都の光琳の自宅で描かれたそうです。
その時の気候によって、開花の時期は異なりますが、タイミングが良ければ流し雛の頃に、梅が満開となっているかもしれません。
鮮やかな鳥居や社殿に負けない鮮やかな梅の光景とその香りをぜひ、楽しんでください。
4月は桜の見頃
下鴨神社の桜の見頃は、例年4月上旬といわれています。
朱塗りの大きな楼門と、その前に咲く桜とがコラボした風景がとても美しいことで有名です。
境内には太古からの原生林が広がる糺の森を抜けた先に、高さ13mの勇壮な楼門前の桜が美しく咲き誇ります。
神霊が宿るとされる「さざれ石」のわきに咲く桜も風情豊かで魅力的です。
御手洗川に架けられた輪橋近くにはソメイヨシノ、糺の森にはしだれ桜など、境内には種類の異なる桜が植えられています。
下鴨神社周辺には、京都御苑、本満寺、長徳寺、京都府立植物園、上賀茂神社、鴨川、高瀬川、京都府庁などの桜スポットがありますので他の場所も合わせて立ち寄ってみるといいでしょう。
下鴨神社の他の見どころ
下鴨神社の他の見どころについて、以下のスポットを紹介します。
流し雛に参加した後に、ぜひこちらの場所にも立ち寄ってみてくださいね。
- 相生社(あいおいのやしろ)
- 糺の森(ただすのもり)
- 河合神社
- さわた社
- 休憩処 さるや
- 水みくじ
①相生社(あいおいのやしろ)
相生社は下鴨神社の楼門の手前にある小さな社で、縁結びのパワースポットとして知られています。
ご祭神は宇宙の生成力を神格化したといわれる「産霊神(むすびのかみ)」で、古代から縁結びの神様として知られています。
代から縁結びの神様として知られており、めでたいことを「相生」というのはここから始まったといわれています。
お社横のご神木は、2本の木が途中から1本に結ばれており、縁結びや安産・育児・家庭円満などのご利益があるとされています。
また、社務所で授与されている「媛守(ひめまもり)」というお守りも、縁結びのご利益があるとされ、大変人気です。
絵馬をかけるときには、相生社の周りを女性は反時計回り、男性は時計回りに二周し、三周目の途中で絵馬掛けにひもをかけて奉納します。
そしてお社の正面に戻ったら二礼二拍手一礼してお参りします。
②糺の森(ただすのもり)
糺の森は、下鴨神社の境内にある社叢林(しゃそうりん)です。
賀茂川と高野川の合流地点に発達した原生林で、面積は約12万4千平方メートルもあり、東京ドームの約3倍もの広さです。
縄文時代から生き続ける森で、その昔は150万坪にも及んでいたと伝えられています。
ケヤキ、エノキ、ムクノキなどの広葉樹を中心に、古代・山背原野の樹林を構成していた樹種が自生しています。
秋には紅葉やイチョウが美しく、京都でも遅めの紅葉名所として知られています。
自然に恵まれた場所で、古本市や蚤の市、手作り市、コンサートなどが開催され、情報発信の場にもなっています。
糺の森は、1983年に国の史跡として指定されています。
また、国宝2棟、重要文化財53棟、重要社殿30棟など歴史的建造物を数多く内包し、ユネスコの「世界文化遺産」にも登録されています。
静寂と神聖な雰囲気に包まれ、神が宿るともいわれていて、近年はパワースポットとしても注目を集めています。
③河合神社
河合神社は、下鴨神社の摂社です。
河合神社の祭神は、神武天皇の母である玉依姫命(たまよりひめのみこと)です。
玉依姫命は美しい玉のように見えることから、美麗の神として信仰されていることから、美しくなりたい願望や、安産・育児・縁結びなどを叶えてくれる神様だと崇められています。
河合神社では、美麗を祈願した鏡絵馬の授与を行っています。
絵馬に普段自分が使っている化粧品でメイクをして願いを託すと、外見だけでなく内面も美しくなると言われています。
河合神社は、かつては「川合社」、「只洲社」、「糺の宮」とも呼ばれていました。
また、『方丈記』を著した鴨長明ゆかりの神社でもあり、境内には方丈が再現されています。
④さわた社
さわた社は球技の神様を祀っており、「ラグビーの聖地」として知られていて、ラグビーボールの形をした賽銭箱や絵馬があります。
現役のラガーマンが、必勝祈願をしに参拝することもあるそうです。
さわた社は、かつて下鴨神社内で斎王が宿泊所として用いた舘立(かんだち)と呼ばれる御所内の「雑太(さわた)」という地に鎮守としてまつられていました。
しかし応仁の乱によって舘立が焼失したことに伴って、現在地に遷座しました。
さわた社は、雑太社、澤田社とも書かれます。かつては糺の森の中、現在の「第一蹴の地」石碑横に所在していました。御社殿の腐朽から戦後に解体を余儀なくされ、摂社三井神社に合祀されていました。
2017年に第34回式年遷宮事業の一環として再興されました。
⑤休憩処 さるや
休憩処 さるやは、京あずき処「茶寮宝泉」で有名な「宝泉堂」が運営されている神社の茶店。
楼門に入る鳥居の手前に位置しています。
名物は、下鴨神社で催される葵祭にちなんだ「申餅(さるもち)」です。
葵祭の期間中に食べると、一年間健康に過ごせるといわれ、江戸時代まで人々に親しまれてきた和菓子です。
2010年に、下鴨神社の宮司に口伝で継承されてきた製法と味をもとに、約140年ぶりに宝泉堂が約140年ぶりに復元しました。
下鴨神社の末社である相生社にちなんで名付けられた「良縁ぜんざい」も有名です。
ぜひ、相生社も合わせてご参拝して、良縁を祈願してくださいね。
氷室神事にちなんだかき氷「鴨の氷室の氷」などもあります。
このかき氷は、下鴨神社にあった「氷室」の氷に関する故事にちなんで名付けられていて、暑い夏を元気に過ごせるようにと願いが込められています。
氷室とは、冬に蓄えた雪や氷を夏まで保存する場所で、祭神へのお供えを地下で冷やしていました。
2022年6月に79年ぶりに再興され、境内の「葵の庭」に設置されています。
見どころの多い下鴨神社を巡る途中に、疲れたらぜひ、「休憩処 さるや」を利用してみてくださいね。
⑥水みくじ
水みくじは、御手洗池に浸すと文字が浮き出てくるおみくじです。
御手洗池の近くの授与所にて購入できます。(初穂料300円)
何も書かれていないおみくじを御手洗池に浸すと、文字がゆっくりと浮き上がってくるんです。
「願い事」「体調」「金運」「学業・仕事」「恋愛」「旅行」などの項目別に運勢が書かれています。
水に漬けて、文字が浮かび上がってくるまで、おみくじの結果がわからないという、待つ時間まで楽しいおみくじです。
フォトジェニックな水みくじは、観光客にも大変人気で、SNSでもたくさんその様子がアップされています。
まとめ
下鴨神社の流し雛は、日本の古くから伝わる伝統行事であり、春の訪れを祝う重要な儀式です。
毎年3月3日の桃の節句に行われ、神聖な雰囲気の中、桟俵に乗せた雛人形を御手洗川に流すことで、厄災をはらいます。
この神事では、男女がお雛さまとお内裏さまに扮して雛人形を流す姿が美しく、神聖な雰囲気に包まれます。
流し雛当日の流れも興味深く、参加者は橋殿での十二単の着付け披露や、男女がお雛さまを御手洗川に流す儀式を観覧できます。
一般の人もその後に雛人形を流すことができる参加型の儀式のため、特別な思い出となることでしょう。
儀式に参加された後は、ぜひ下鴨神社境内の他のスポットも巡って、観光を楽しんでくださいね。