着物に似合う髪型は?気をつけたいマナーも紹介
着物を着用するときに気になる、髪型。一般的にアップのイメージをもたれている方もいらっしゃる一方で、袴を着用した卒業式ではハーフアップの髪型をしている方も目立ちます。
「髪型はアップでないといけないの?」「髪の長さはロングの方がいいの?」と、着物を着用する際の髪型について悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、そのような悩みを解決する「着物に似合う髪型」を一挙紹介。髪型において気をつけたいマナーについても合わせて解説します。
髪の長さはどうする?
最初に、女性が着物を着用するときに気になるであろう「髪の長さ」についてまとめました。
- ショートヘア・ボブヘアもOK
- アップヘア希望なら鎖骨まで伸ばして
ショートヘア・ボブヘアもOK
まとめ髪のイメージが強い着物ですが、ショートヘアやボブヘアでの着用も全く問題ありません。
ストレートなショートヘアやボブヘアであれば、シンプルかつ綺麗な印象になります。反対に華やかさを演出したい場合は、編み込みやカールアレンジ、髪飾りの着用がおすすめです。
ショートヘアやボブヘアでも、着物でのおしゃれを十分に楽しめますよ。
アップヘア希望なら鎖骨まで伸ばして
おだんごヘアなどのアップヘアを合わせたい場合は、鎖骨まで髪を伸ばしましょう。
ショートヘアやボブヘアでは、思うようなアップヘアを作れない可能性が高いです。着物を着る予定がある場合は、当日に向けて髪を伸ばしておくことをおすすめします。
なお、ショートヘアやボブヘアでアップヘアを作りたい場合は、ハーフアップに挑戦するのが良いでしょう。
着物に似合う髪型
続いて、着物にぴったりな女性の髪型をピックアップしました。
- ナチュラルなショートヘア
- 内巻きのボブヘア
- ハーフアップアレンジ
- サイド編み込みアレンジ
- ねじねじアレンジ
- おだんごヘア
- シニヨンアレンジ
- たまねぎヘア
ナチュラルなショートヘア
ショートヘアで着物を着用する場合は、ナチュラルなスタイリングに仕上げるのがおすすめです。もともと首元がスッキリしているため、着物を着用することでさらなるおしとやかさと清潔感を演出できます。
毛先にアレンジを加えるのも素敵ですが、シンプルかつナチュラルなショートヘアでも十分サマになりますよ。
内巻きのボブヘア
ボブヘアを合わせるなら、ナチュラルな内巻きアレンジがぴったり。おかっぱ風に仕上げれば、より着物に似合う髪型に近づきますよ。
丸いフォルムとまとまったきれいな毛先であれば、着物にぴったりな清潔感も抜群です。「何か物足りない……」と感じる場合は、髪飾りを身につけるのもおすすめです。
ハーフアップアレンジ
ボブヘアなどの比較的髪の長さが短い人であれば、ハーフアップアレンジも良いでしょう。通常のボブヘアとはまた違った、華やかな印象を演出できます。
結び目やトップにボリュームを出すと、さらに目を引くおしゃれな髪型に仕上がりますよ。他にも、結び目に毛束を巻きつけるなど、いろいろなアレンジを楽しめます。
サイド編み込みアレンジ
ロングヘアの人からショートヘアの人まで誰もが挑戦しやすいのが、サイド編み込みアレンジです。着物にぴったりな清潔感や落ち着いた印象を損なわず、おしゃれな髪型に仕上がります。
編み込み箇所の髪の毛を外側に適度に引き出すと、さらに華やかさが増しますよ。
ねじねじアレンジ
前髪やハーフアップにもうひと手間を加えたいときにぴったりなのが、ねじねじアレンジです。毛束をねじってピンやゴムで留めるだけで、着物にぴったりな華やかな髪型に早変わりします。
「着物用に髪型を整えたけれど、もう少しアレンジを加えたい」というときにぴったりなアレンジです。
おだんごヘア
セミロングヘア〜ロングヘアの方におすすめなのが、おだんごヘアです。まとめ髪は、着物との相性抜群。高い位置で結べば、華やかかつ活発な印象を演出できます。
魅力的なうなじが見えるのも、おだんごヘアのすてきなポイントです。
シニヨンアレンジ
シニヨンとは、まとめ髪の総称のこと。先ほど紹介したおだんごヘアも、シニヨンに含まれます。おだんごヘアよりも自由度が高く、まとめる位置は自由です。高い位置でまとめれば元気な印象に、低い位置でまとめれば大人な印象に仕上がります。
髪のまとめ方のバリエーションも豊富。ルーズなものから三つ編みを合わせたものまで、さまざまです。
たまねぎヘア
たまねぎヘアとは、ポニーテールやツインテールで作った毛束の所々をゴムで結んだものです。たまねぎのように丸い膨らみができることから、そのように呼ばれています。
まとめ髪ならではの清潔感をキープしつつ、おしゃれに仕上がるのが嬉しいポイント。ふくらみは大きめであれば可愛らしく、小さめであれば大人っぽく仕上がります。
三つ編みヘアと組み合わせて作れば、さらに目を引くおしゃれな髪型ができあがりますよ。
着物に似合う髪型〜新婦の場合〜
着物の着用を考えている方の中には、神社や寺院で執り行う「着物での結婚式」を検討している夫婦もいらっしゃるでしょう。
ここでは、着物で結婚式をあげる際にぴったりな、新婦の髪型について解説します。
これまで紹介した髪型・ヘアスタイルとは打って変わって、より和風なものばかりです。ぜひお気に入りのスタイルを見つけてください。
- 日本髪
- 綿帽子
- 角隠し
- 洋髪
日本髪
日本髪とは、古くから伝わる女性の髪型の総称です。前髪・鬢(びん)・髱(たぼ)・髷(まげ)の4つの要素で成り立つ髪型で、左右対称の仕上がりが特徴的です。形によって丸髷(まるまげ)・島田・桃割れ・いちょう返しとさまざまな名称がつけられています。
広義の日本髪は、古墳時代から昭和戦前までと非常に長い歴史を持ちます。現代では、着物を着用した結婚式で新婦の髪型として用いられることが多くなりました。
ロングヘアの場合は地毛で、ショートヘア・ボブヘアの場合はかつらを用いて作ることができます。
綿帽子
綿帽子とは、真綿で作られた女性用の被り物のことです。新婦が髷を結った頭の上に覆いかぶせるようにして着用します。
着用できるのは、婚礼衣装の中でも格式高い「白無垢」を着用しての結婚式を執り行うときのみ。他の衣装を着用しているときや、結婚式以外のタイミングで綿帽子を被ることはできませんので、注意しましょう。
綿帽子の起源は、平安・鎌倉時代です。現代では、新婦が白無垢と合わせて着用する婚礼アイテムとして知られています。
角隠し
角隠しとは、新婦が被る帯状・幅広の布のことをいいます。綿帽子と同じく、髷を結った頭の上に覆いかぶせるようにして着用するものです。
綿帽子と異なるのは、着用シーンの制約が少ない点。綿帽子の着用が白無垢着用時に限られているのに対し、角隠しは「色打掛」など白無垢以外の婚礼衣装にも合わせることができます。また、披露宴など、結婚式以外のタイミングでも着用可能です。
最近では、色打掛には角隠しを、白無垢には綿帽子を合わせることが多くなりました。
洋髪
最近では、新婦が着物に洋髪を合わせて結婚式をあげるケースが増えてきました。
日本髪との違いは、決まった形がないこと。ヘアアレンジの自由度が高く、希望にあったアレンジで結婚式に臨めます。アクセサリーとしては、生花を利用することも多いです。
ただし、式をあげる神社によっては洋髪を拒否されるケースもあります。不安な場合は早めに神社に問い合わせておくと安心ですよ。
着物に似合う髪型のセット方法
なりたい髪型を見つけたら、次はヘアセットの方法を検討しましょう。
着物に似合う髪型のセット方法は、次の3つです。
- 自分でセットする
- 美容室でお願いする
- ウェディングプランを利用する
自分でセットする
着物を着てちょっとしたお出かけや観光をする場合は、自分でパパっとセットするのがおすすめです。
特に手先が器用な方やヘアアレンジが得意な方であれば、自分でセットした方が安上がりでしょう。自分の思い通りに髪型を変えられるのも大きなメリットです。
簡単なアレンジであれば、プロに頼らず自力で髪型をセットすることを検討してみてください。
美容室でお願いする
少し凝ったヘアアレンジに挑戦するなら、美容室に頼ると良いでしょう。
自力ではできない難しいヘアアレンジも、プロの手によってしっかりと実現できます。自力で行う場合と比べて費用はかかりますが、失敗が少ない点がメリットです。
「凝ったヘアアレンジでバッチリ決めたい」という方は、ぜひ美容室の力を頼ってください。
ウェディングプランを利用する
着物での結婚式や前撮りを検討する新郎新婦の場合、業者が用意しているウェディングプランを利用するのも1つの手です。
業者の中には、式場の手配から衣装の準備まで一括でサポートしてもらえるプランを用意しているところもあり、サービスとしてヘアセットが組み込まれていることがほとんどです。
「結婚式や前撮りに関わる面倒な手続きをまるっと任せたい」という方は、ぜひプランの利用を検討してみてください。
なおZen 京都では、着付けやヘアセットから挙式予約までが可能な「挙式衣裳プラン」、前撮りでの着付けやヘアセットをサポートする「写真撮影プラン」を用意しています。着物での結婚式・前撮りを検討している新郎新婦様は、ぜひご覧ください。
着物を着るときの髪型のマナー
最後に、着物を着るときに気をつけたい髪型のマナーについて解説します。
気をつけたいマナーは、次の5つです。
- 髪は下さない
- 髪飾りに気をつける
- うなじの産毛を処理する
- 派手な髪型を避ける
- 整髪料をつけすぎない
髪は下さない
着物の中でも格式高い礼装である「留袖」を着用するときに、気をつけたいマナーです。
フォーマルな服として知られる「留袖」には、アップヘアを合わせるのが基本。ハーフアップなど、髪を下ろしたヘアスタイルはマナー違反になります。毛先は垂らさず、きっちりとまとめた上品な髪型に仕上げましょう。
なお、未婚女性の第一礼装に当てはまる「振袖」や準礼装に該当する「訪問着」を着用する場合は、ハーフアップなどもOKです。ただし、結婚式などの厳かな式典の場合は特に上品さや清潔感を意識しましょう。
髪飾りに気をつける
着物を着用するシチュエーションによっては、髪飾りにも気をつけなければなりません。
例えば、結婚式にお呼ばれされたとき。パール以外の白い髪飾りや生花で作られた髪飾りは、新婦と被る可能性があります。主役はあくまでも新郎新婦ですから、新婦より控えめな髪飾りを身につけるように心がけましょう。
反対に、成人式で振袖を着用する場合は、髪飾りも華やかなものを選んだ方がバランスが取れるでしょう。着物の華やかさに負けないよう、着物の雰囲気にあった髪飾りを選びましょう。
うなじの産毛を処理する
アップヘアにする場合は、うなじのお手入れも忘れずに行ってください。
着物に合わせる髪型では、清潔感が何よりも大切です。うなじのお手入れが行き届いていないとだらしない印象を与えてしまう可能性があります。
着物ならではの奥ゆかしさを損なわないために、しっかりと処理をしておきましょう。
派手な髪型を避ける
シチュエーションによっては、髪飾りだけでなく髪型そのものにも気をつけましょう。
結婚式に呼ばれたときは、派手な髪型を避けるのが無難です。主役である新郎新婦を引き立てられるように、派手な髪型は避けましょう。
最近ではアップヘアの一部を下に垂らす髪型も流行っていますが、なるべくすっきりとまとめるのがおすすめです。
整髪料をつけすぎない
ヘアセットの際は、整髪料をつけすぎないように注意しましょう。
整髪料の成分次第では、着物に付着したときにシミになってしまう可能性があります。整髪料の量はほどほどにしておきましょう。
特に髪型をハーフアップにする場合は、着物にかかる箇所の髪にはなるべく整髪料をつけないのがおすすめ。不安な方は、思い切ってアップヘアにしましょう。
また、同じ理由でヘアセットは着付け前に済ませておくと良いですよ。
まとめ
以上、着物に似合う髪型や、着物の着用時に気をつけたい髪型のマナーについて解説しました。挑戦してみたい髪型は見つかりましたでしょうか。
着物というとロングヘアでつくるまとめ髪のイメージをもたれる方も少なくないでしょう。しかし、実際にはナチュラルなショートヘアやボブヘアなども着物にとても似合うのです。短めの髪の毛であっても、着物に似合う髪型を作ることができますよ。
ただし、おだんごなどのアップヘアに挑戦したい場合はあらかじめ髪を伸ばしておきましょう。
特に結婚式や前撮りで着物を着用する場合、髪型がイマイチですと気持ちも落ち込んでしまいますよね。一生に一度の特別なイベントを気持ちよく迎えられるよう、ぜひ髪型にも気を遣ってみてください。